四川料理といえば痲辣(まーらー)。麻婆豆腐や火鍋に用いられる、四川料理の代表的な味付けで、痺れを表す「痲」は花椒(かしょう、ホアジャオ)、辛さを表す「辣」は唐辛子を表します。
「麻」について
強烈な痺れをもつ花椒(ホアジャオ)はミカン科サンショウ属の植物で、果実を収穫して乾燥させて使用します。
芳香の主成分はシトロネラールという柑橘系植物に含まれる成分です。果実の果皮は食用と薬用があり、漢方では、
健胃、鎮痛、駆虫作用があるとされています。日本の山椒とは同属異種。使用部位も花椒は乾燥させた実だけなのに対し、
山椒は木の芽、若葉、花、実、幹、皮と様々な部位を使用します。最初は抵抗があるかもしれないがませんが、
ツボにハマりだすとどんどん入れる量が増えていく傾向があるようです。
「辣」について
唐辛子は中南米が原産でナス科トウガラシ属の植物です。ご存じのとおり辛みをつけるため各種料理に使用されます。
効能としては辛みの主成分カプサイシンが胃痛、胃もたれ、むかつきなど、胃炎を予防し血行を促進する効果が高いことが判明しています。
またビタミンA、ビタミンCが豊富に含まれているため、夏バテ防止の効果も高く、殺菌作用があり食中毒を防ぐとも言われているので、
暑い地域で多く使用される傾向があります。唐辛子の種類も数多くありますが、四川料理ではやはり四川唐辛子を主に使用しています。
ちょっと太いのが特徴で(写真参照)、「朝天辣椒」と呼ばれています。これは中国語で「朝」には「向かう」という、
「天」には「空」という意味があり、空に向かって育っていくところからこの名が付きました。辛味がまろやかで、香り高い風味が特徴です。
また、唐辛子を主原料にした調味料では豆板醤が有名ですね。これも四川省が発祥です。辛さだけではない、
豊かなうまみをもった辛さが多くの人々に愛されています。